緒形拳さん急死。次男・直人さん「あまりにも、でかい存在。かっこいい、あったかい男」

日本を代表する個性派俳優として知られた緒形拳さん（おがたけん=享年71)が､5日午後11時53分､肝臓がんのため死去した。スポーツ各紙が報じている。

この日東京・新宿区の寺院で､親族と親しい俳優仲間のみで密葬が営まれた。その後､長男・緒形幹太（おがたかんた=41）､次男・直人（なおと=41）兄弟は､憔悴（しょうすい）した表情で会見に臨んだ。

「一家の大黒柱」（幹太）､「あまりにも､でかい存在。かっこいい､あったかい男」（直人）という尊敬する父との突然の別れ。幹太がここ数日の経過を説明し､言葉に詰まると直人がフォローするなど気丈な対応を見せたが､直人は「僕らにとっても急で､3日間泣きとおしていたんです…」と声を詰まらせる場面もあった。

緒形さんは今月4日の夕方､「体調が悪い」と都内の病院へ入院。肝臓がんによる肝臓破裂で出血があり､同5日深夜に息を引き取った。最期は夫人､子供､孫ら家族全員と親友の津川雅彦が看取（みと）った。

緒形さんは8年ほど前から肝硬変を患っており､03年ごろには肝臓がんが発覚した。だが手術を拒否し､通院や食事による治療を続けた。病気については､家族にきつく口止めした。直人は「『仕事関係の人には絶対にいうな』と。家族だけが知っていた。病気に打ち勝ちたいという気持ちが強かったが､気が気じゃなかった」と会見で吐露した。

緒形さんの遺作となった「風のガーデン」の出演者らが7日､そろってコメントを寄せた。

脚本家の倉本聰氏は「クランクアップの時､終わったあとすごく明るい顔をしてたのが印象深い。あの“人間たらし”の笑顔にやられっぱなしでした」と回顧。

中井貴一は「どうしても信じられない。（先月30日の会見で）背筋をしゃんと伸ばしてさっとお車に乗られたのをお見送りしたのが最後でした」とつづった。(松野)